テトラポットの上、ふたりぼっち。
「思いつめたりなんてしとらんよ」
『そ?』
そ?
その声がやけに優しく聞こえて、不覚にも泣きそうになった。
「ほな、そろそろきるな?」
『ん、また明日な。』
「明日は日曜だで休みやな。あ、明日も洸は学校があんなら話は別やけどな」
『ないわ。』
そう勢いよく突っ込む洸の言葉に今度こそ涙が零れそうになって
「ほなまた月曜日な」
『ん。またな』
ツーーツ――ツーー
無機質な機械音が聞こえた。
なんで、こんな時に、思い出話なんか…!
瞼という防波堤の上を呆気なく超えた波は、頬にいくつもの川をつくった。
「ばかぁ…」