テトラポットの上、ふたりぼっち。
なにか見えないものに不安になって桃子の横顔を見つめる。
……なにも、感じてない。
''無''
というのが正しいのだろうか。
どちらかというと、
''迷''
が入ってる、''夢''
なにが辛いのか、
何が不安なのか。
でもとりあえず…
「あんま思いつめんなや」
この一言に尽きる。
「え?」
当然訳が分からないという顔で俺を見る彼女。
そんな彼女にニカッと笑いかけてやれば彼女はふわっと笑った。
「なぁ、寧ー?」
「なん?」
「この海の向こうってなんがあるのやろか」
「うーーん、」
「そこに、幸せは、あるのやろか。」
「なにがあるんかは分からんけど、そこで幸せになれるかはその人次第だと思うで」
なんも知らない、未熟な俺は
知らないうちにそう言って彼女の背中を押した。
後悔するのは、もう少し先のこと。
寧 side fin.