テトラポットの上、ふたりぼっち。


***


「舜のバカ。」


「はぁ?」


「あ、ごめん。」



どうやら声に出てたらしい。


それに反応したのは隣にいた寧。


「なん、お前。
舜の事考えてたん?」


「んー、」


「煮え切らんな」


そう言って、ふ、と笑った。



「舜なぁ、最後私に『海の向こうで幸せになってくる』って言っててん。」



「海の向こうで幸せになる?」



「ほやほや、海の向こうに、どんな幸せがあるのやろな」



「お前、だからさっき…」



「あー、忘れてえーよ、むしろ忘れて」


「無理、ばっちし記憶に叩き込んどったわ」


「今すぐ消しされや」


そう言うと、顔を見合わせて笑った。




少し腕をずらせば触れてしまいそうな距離。




「花火まだ上がらんなぁ」

なんて言う君の横顔にキュンとする。



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