テトラポットの上、ふたりぼっち。
「ほーや、桃子」
「ん?」
その時。
ーーーバンバンバン
真っ暗な空に打ち上がるいくつもの大輪。
おかげで寧の言葉が聞けなかった。
それでも。
「綺麗やなぁ」
「…やな」
「ほーで、さっき寧は何言いかけたん?」
「別に。大したことないで。」
「嘘や、さっきより不機嫌やもん!」
「そんなことないって。
ほら、いちご飴食っとけ。」
そう言って私の口にいちご飴を押し込んだ。
「ゴホッゴホッ
なにするん、寧。ってかなんでそんな不機嫌なん!」
「……別になんもない」
「嘘や。やって、今耳触っとるもん」
そう、寧は嘘をついたりなにか隠している時決まって右手で耳を触る。
「なっ…!」
「図星やろ〜!」
「うっせ。黙っとき」
「のうのう、なんで怒っとるん?」
「……」
「無視すんな」
「そりゃ決まっとるやろ」
そう言って寧は私の耳元に口を寄せて、まるで内緒話をする時みたいに。
爆弾を落とした。
ーーーーーーー
告白遮られて、上機嫌になる奴がどこにおるんや。