花の色は 移りにけりな いたづらに
私は息を呑む…
何故…何故…
どうして分かるの…?
今の私にはもう、教授に対してそういう気持ちはない…
あるのは恐怖…
別れを切り出したときに起こることへの恐怖…
彼の私に対する執着を知ってるからこそ…
考えるだけで背筋が凍る。
「守るよ…」
「…え?」
「俺が一ノ瀬から君を守る。
だから俺の手を取ってくれませんか?」
そう言ってこちらに手を伸ばしてくる。
「…私には、私にはその手を取る勇気もないんです。
教授への恐怖と同じくらいに…」
私は私。
『華』を知る前に他のものに目移りし、穢れた。
本当に『華の道』が好きだったから、くすんだ作品しか作れなくなったときは泣いた。
だから、今のままだと『華』は作れないと告げられたとき、怖くなった…
それを、その恐怖を植えつけたこの人の側にいることがつらい…