花の色は 移りにけりな いたづらに
私が『華』を知らない理由…
それは『色』を知らないから…
「…それは『色』を知らないからだと、貴方に言われました。私の『色』がくすんでいるから…」
私は暁臣さんから目を逸らした。
どこまでも真っ直ぐなその目に耐えられない…
「ええ。貴女は『色』を知らない。
『色』とは何かを知らない。
だから貴女が今、『華』を作れるわけがないのですよ。
ただ、色づき始めていた貴女の作品が、くすみ始めていたのも本当です。
理由は、分かりますね?」
私は黙って頷く…
一ノ瀬教授の愛人になった頃から、私は生けられなくなった…
お家元にも首をかしげられ、暁臣さんには現実を突きつけられた。
「…私が一ノ瀬教授と関係をもったから…」