花の色は 移りにけりな いたづらに
もう泣きそうだ…
暁臣さんが大好きだった…
私はずっとこの人の妻になると思って生きてきた。
でも、その場所には本当は他の人がいたことを知ってしまった。
「…そうです。
桜芳をやっと掴まえたと思ったのに、まさかするりとこの手を逃げていくとは思っていませんでした…」
「……………私は…私は貴方に相応しくない…」
「それは誰が決めることでもありません。
俺が決めることです」
暁臣さんはきっぱりと淀みなく言葉を発する。
「俺は幼い頃から桜芳を妻に迎えることだけを夢みてきた…」