花の色は 移りにけりな いたづらに

「暁臣さん、貴方のお話はわかりました。
マンションは解約できませんが、教授の件は私も気を付けます」



暁臣さんから視線を外し仕方なしに答える。

そうは言っても毎日同じ場所で働いてるわけだし…
必要最低限近づかなければ大丈夫よね…



「本当に約束できますか?」

「え?」

「君は情に流されやすいところがありますから…」


そう言って彼は私の頬に綺麗な指を滑らせ撫でた。

私はこの手が大好き…


「情に流される…?」

「ええ、一ノ瀬との関係も情に流されてなし崩しに始まったんじゃないのかい?

以前一度だけ大学の構内で二人を見たことがあります。
そのときの雰囲気で分かりましたよ。

桜芳の気持ちも一ノ瀬の考えも全て…」


「暁臣さん…」


見られていた…
一番見られたくなかった人に…
知られたくなかった…


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