花の色は 移りにけりな いたづらに
こちらに伸ばされた綺麗な手…
その手を取ってもいいのか一瞬悩んだ。
それに気づいたのか暁臣さんは私の手を掴みソファに座らせた。
「とりあえず、今日から半同棲ということで仕事以外はここで過ごすことにします」
「え、それは半とは言わないのでは…」
思わず口を挟む。
「だって桜芳はここを引き払って御堂の家には来たくないのでしょう?
だとしたら、俺がここに居座るしか選択肢は残ってないじゃないですか」
クスクスと含み笑いをしながら暁臣さんはこれからのことを話す。
「いやいや、ちゃんとご自宅にお帰りください!
監視されなくても教授を連れてきたりしませんから!」
「当たり前です。
大学までの送り迎えまでしっかりとしますので。
大学の私室には5分以上滞在させないようにしてください。
よろしいですね?」
有無を言わせない迫力ある苦手な笑顔…
「5分…はさすがに…」
「…それ以上になるときは人目があるカフェテリアなどに行くこと」
「は、はい…」
「よろしい」
そう言って暁臣さんは私の髪の毛を撫でる。
ひどく安心する…
気付けば暁臣さんの肩にもたれて眠っていた。