花の色は 移りにけりな いたづらに
「ふむ…君が噂の東宮家第二のお嫁さんだったのですか…」
「「噂??」」
腕を組みふむふむと納得するように頷く暁臣さん。
「…深桜、あなた上流階級で噂になってるの?」
きょとんと首をかしげて幼なじみを見る。
「しかもなんか第二夫人みたいな不名誉な噂じゃない?
暁臣さんの言い方の問題もあるけれど…」
「今まで、一生独身を貫くと思われていた東宮グループの兄弟が立て続けに結婚したから…変な噂が一人歩きしたのよ」
溜め息をつきながらドカリとソファーに座る深桜。
疲れきっているわね…
「ところで、外出の邪魔をしてしまって申し訳ありません」
ニコニコと人の良さそうな笑顔で口を開く暁臣さん。
「お構い無く」
暁臣に負けず劣らずの笑顔を見せる深桜。
「桜芳、出かけておいで。楽しんできてくださいね」
「え…まさかここで待ってる気ですか?」
ドキリとする。
「今日は帰ります。同棲の話は今夜にしましょう
御堂の家にいるからそちらに帰っておいで?
分かりましたね?」
「お稽古は…」
「気にすることはないですよ
お稽古よりも婚約者です」
そう言われ、送り出される。