花の色は 移りにけりな いたづらに
side 暁臣~愛する人と~
あれは俺が10歳の誕生日。
退屈だった。
俺の作品の初お目見えだったその日は、ただひたすら花器に向かい、誰ともわからない父の客人たちに淡々と作品の説明を繰り返していた。
父と祖父に言われた。
『皆さん、暁臣のお誕生日のお祝いをしに来てくださっているんだ。』
『やっときた初お目見えだぞ?
もっと嬉しそうにしたらどうだ。そんな表情では花が可哀想だ』
僕の誕生日なんて誰も祝ってなんかいない…
みんな、じいさまと父さんのご機嫌をとりにきてるんだ…
幼い俺はそう思っていた。
『かなしいの?』
『…え?』
知らない間にお客様が入れ替わっていた。
目の前には着物を着てちょこんと正座をする女の子。