花の色は 移りにけりな いたづらに
『かなしい?僕が?』
『ううん、そのお花さんたちが』
『え?』
女の子は作品を指差す。
『だってお花さんたちなんだかかなしそう…
さみしいのかな?』
自分も泣きそうな顔で俺に尋ねてきたのは、五歳の頃の桜芳だった。
『これ!桜芳!居なくなったと思うたら!!』
よく知った顔が部屋に入ってきた。
『暁坊、お誕生日おめでとう』
『源じい、ありがとう!』
俺はそれだけで嬉しかった。一番最初に俺におめでとうと言ってくれた。
向日葵のようなキラキラした笑顔で大好きだった。
都築 源一郎
桜芳の祖父だ。
『おお、臣一と嘉弥君もいたのか!この度は暁坊の初お目見えおめでとう』
臣一、俺の祖父と源じいは幼なじみだった。だから父、嘉弥のことも、俺のことも家族のようにそのあったかい笑顔で包んでくれた。