花の色は 移りにけりな いたづらに
『わ~!!』
嬉しそうに庭ではしゃぐ桜芳。
着物なのにすいすいと庭の草花の間を進んでいく。
華の精みたいだ…
『…桜芳ちゃんはお花が好きなの?』
『はい!お花さんはみてるとしあわせです!おどりにはたくさんお花さんでてくるので、お花さんみたあとは、いっぱいおどれるようになります!』
華の精…
そっか…桜芳ちゃんは花の中で舞を舞ってるんだ…
自分より五つも年下なのに、とても綺麗な横顔と立ち居振舞いに一瞬で心を奪われた。
その時だった。俺が心に決めたのは。
『…桜芳ちゃん、大きくなったら僕のお嫁さんになってよ』