花の色は 移りにけりな いたづらに
それから源じいが迎えにきて、桜芳は花をたくさん抱いて帰っていった。
『そういえば、暁臣、今年のプレゼントは何が欲しい?
今年は忙しくなってしまい、私も嘉弥も用意できんかった…すまないな…
これからでもよければ、なんでも欲しいものを言いなさい』
夜、祖父と父に呼ばれ部屋に行くとそう言われた。
チャンスだと思った。
『じいさま、父さん、僕は桜芳ちゃんが欲しいです』
『『……は?』』
二人はポカンとしている。
『桜芳ちゃんを僕の婚約者…お嫁さんにしてください
僕は今、桜芳ちゃんが欲しいです』
『いやいや、暁臣、自分が何を言っているのか分かっているのか?』
父は呆れながら首をふる。
祖父は何か考え込んでいるようだった。
『じいさま、欲しいものならなんでもいいと言ったではないですか!』
『う~ん…しかしな~…』
『じいさま!』
懇願するように祖父に詰め寄った。
『桜芳さんには、既に許婚がいる…』