カップほどの小さな幸せだとしても、店長が隣に居てくれるなら。
「瞬くんって、トラブルメーカーで口が軽いって聞きました。関係、何かありますか?」
「興味がないのは人間に対してもだ。つまり、人間をよく知らない。表情や雰囲気を読めない。塩谷くんは見たものをそのまま口にする。だからよくトラブルになるんだ」
なるほど。
瞬くんの性格って結構やっかいなんだな。
でも、どうしてだろう? どうしてそんなに興味ないんだろう。
「麗ちゃんは関わることが多いから大変かもしれない」
「大丈夫ですよ」
夏彦さんは黙々と食事をし始める。
わたしも生姜焼きを口に入れた。美味しすぎる。
「ありがとう」
唐突に言われて、何だか照れくさくなる。
夏彦さんの温かさも伝わってきて、ドキドキが止まらない。食べ物の味がわからなくなってきた。