カップほどの小さな幸せだとしても、店長が隣に居てくれるなら。


「アルバイト……」



 心惹かれる文面だけど、とにかく今は落ち着かなきゃ。まともに考えられるほど冷静ではないんだから。
 でも……。



『あなたはどんなお店にしたいですか?』



 アルバイトでも活躍出来そうだと思った。何だか素敵。


 そう思っていると、ドアが突然開けられた。



「いらっしゃいませ!」



 元気な男性店員だった。わたしは思わず一歩下がっていた。



「あれ? お客様ですよね?」



 聞かれて思わずこくりと頷いてしまった。
 あまりにも元気で、輝いていて、変にドキドキしている自分がおかしい。
 やっぱり今日は、普通じゃない。



「よかった。どうぞ!」



 突っ立っているわけにもいかず、言われるままに店に入る。

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