カップほどの小さな幸せだとしても、店長が隣に居てくれるなら。
つまり夏彦さんは、ただやる気がないだけではないと見抜いたってことだよね。陽希くんに足りなかったもの、短期間でわかったの?
さすが店長だ。こんな個性的なスタッフを纏めているかと思うと、ただ無口なだけじゃない。さすがだ!
「カフェ雑貨はぴねすのスタッフであるという責任。そこに立てば、学生であることなど関係ない。自分の言動に責任を持って接客する。それが店長に初めて教えてもらったことです」
当たり前のことを教えられて、助けられたような気になった。だから夏彦さんには感謝してもしきれないと、陽希くんは語った。
うん。わかる気がする。
夏彦さんはあまり喋らないけれど、大事なことはわかるまで一緒に考えてくれる。
つまり、スタッフを大切にしてくれる。
小さいお店ならではなのか、今まで働いていた所とは大違い。すごく、幸せを感じられる。
「はぴねすを選んで良かったかも」
「ぼくも、そう思います」