カップほどの小さな幸せだとしても、店長が隣に居てくれるなら。


 それからというもの、わたしは陽希くんと仲良しになった気がする。自分のことを話してスッキリしたのもあるんだろう。
 懐かれたとでもいうのか、会うたびに色々と話してくれるようになる。


 嬉しくもあり、心配にもなる。友達はいるんだろうか、なんて。



「陽希くん、今度休みの時にでも友達連れてきたら?」



 今更ながら、何も考えないで提案してしまった。夏彦さんにも聞かないでよかったんだろうか。いや、あまりよくない。



「それ、いいですね」

「あ。夏彦さんにも聞いてね」



 提案にのってしまった。しかも嬉しそう。
 でも、友達はいるみたいで安心。ちゃんと高校生してる。



「夏彦さんがいいって言ってか……どぅわ!!」



 陽希くんの話に和んでいたら、ポケットに入れていたスマホが鳴って慌てて出る。誰かわからずに出たものだから、少し緊張。



「も、もしもし」

『麗ちゃん、どこ?』

「あっ! 夏彦さん。もう帰りますから」



 勢い良く立ち上がって、椅子を倒してしまう。それを手際よく陽希くんが直してくれた。

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