カップほどの小さな幸せだとしても、店長が隣に居てくれるなら。
さすがに店長が混んでいる店を放ったらかしには出来ないよね。無表情でわからないけど、実は疲れているのかな?
「じゃあ今日はわたしが夕飯作ります」
「……麗ちゃん、作ってくれるの?」
「はい! 期待しててください!!」
とは言ったものの何を作ろう。なんか、がっつりいきたいよね。いや、それはわたしの気分か。
「楽しみにしてる」
「……はい。じゃあ、お疲れ様です」
最近、夏彦さんの口数が増えた気がする。それに時折、今みたいに笑ってくれる。
それはみんなも思っていたみたいで、変わったという声を聞くようになった。多分、いいこと。
夏彦さんは店のリーダーだけど、口数が少なく無表情で、勘違いされがちだったみたいだから。
「お疲れ様です」
まだ少し混雑している店内を回って、スタッフに帰ることを言う。初めて会った遅番の鶴羽櫻子さんとは、結局挨拶以外の言葉が交わせなかった。