カップほどの小さな幸せだとしても、店長が隣に居てくれるなら。


 さすがに店長が混んでいる店を放ったらかしには出来ないよね。無表情でわからないけど、実は疲れているのかな?



「じゃあ今日はわたしが夕飯作ります」

「……麗ちゃん、作ってくれるの?」

「はい! 期待しててください!!」



 とは言ったものの何を作ろう。なんか、がっつりいきたいよね。いや、それはわたしの気分か。



「楽しみにしてる」

「……はい。じゃあ、お疲れ様です」



 最近、夏彦さんの口数が増えた気がする。それに時折、今みたいに笑ってくれる。
 それはみんなも思っていたみたいで、変わったという声を聞くようになった。多分、いいこと。


 夏彦さんは店のリーダーだけど、口数が少なく無表情で、勘違いされがちだったみたいだから。



「お疲れ様です」



 まだ少し混雑している店内を回って、スタッフに帰ることを言う。初めて会った遅番の鶴羽櫻子さんとは、結局挨拶以外の言葉が交わせなかった。

< 127 / 167 >

この作品をシェア

pagetop