カップほどの小さな幸せだとしても、店長が隣に居てくれるなら。


 確かに。女性の方は瞬くんを振り向かせたいみたいだったな。忙しくてわからなかったけど、やっぱり陽希くんの言う通り……瞬くんにその気はなかったか。



「可愛らしい人なのに。もったいないな」



 人のことはどうでもいいのか。本人達の問題だし、口を出すことなんて出来ない。多分、瞬くんが何もわかっていないんだろうけれど。


 一人悩んでいたら、陽希くんはバッグから小さな箱を出す。中にはクッキーが入っていた。



「それ、貰ったの?」

「そうなんです。クラスの女子に」



 絶対に陽希くんモテる。その子、陽希くんに恋してる! わかってないみたいだけど。



「はぁ」

「どうしたんですか? 疲れてます?」

「ある意味、ね」

「クッキー食べますか?」

「いや。それだけは貰えない!」



 何よ。頭にぽかんとハテナマーク出しちゃって。
 気づいてあげないと、可哀想じゃない。仕方ないか。陽希くんだからね。

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