カップほどの小さな幸せだとしても、店長が隣に居てくれるなら。


 勝手にペラペラと喋り出した陽希くん。もう止められない。



「じゃあ、屋島さんは? 確か三十四歳!」

「ない!!」



 即答していた。



「じゃあ三十八歳、国分店長ですね。一緒に暮らしてるし」

「陽希くん?」

「好きだから常に一緒にいたいってことですよね」

「陽希くん!」



 陽希くんの暴走を止める。すると主旨からずれていたことに気づいたらしく頭を掻いた。



「で? 何の話?」

「この間言っていた相談です。麗さん。今まで、告白したことありますか?」



 ほんのり赤くなった頬。白い肌がみるみる染まっていく。


 経験がないわけじゃない。高校生の頃、もっと大きく分ければ青春時代にそんな想いを抱えていた。
 結婚や親の言葉も気にせず、ただ『好きな人がいる』という普通の感情を持っていて、それを大人になってからは忘れてしまった気がした。


 陽希くんの表情は恋をしている顔だ。すごく懐かしかった。

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