カップほどの小さな幸せだとしても、店長が隣に居てくれるなら。
「高校生の時にしたことあるよ」
わたしの言葉にぱっと顔を輝かせて、しかし途端に悩んだような困った表情になる。
「陽希くん、告白するの?」
また顔が赤くなる。耳まで赤くなるものだから、つい笑ってしまった。
「笑い事じゃないですよ」
「ごめん、ごめん。わかってるんだけどさ。で? 同じクラスの子?」
「あ、あの……」
「ん?」
「…………っす」
「え?」
「だから……先生」
陽希くんにしてみたら年上ばかりが集う店でアルバイトを希望した理由がなんとなくわかった。
しかも先程、年上が好きなのかという話題も振ってきた。それはここに至るまでの伏線、というわけだ。
「先生って?」
「ぼく、今年から高校で。先生も同時期に赴任してきて……国語の先生なんです。もう、めちゃくちゃ可愛くて、図書室でよく話をしてて」
「好きになっちゃったんだ」
「二十四歳です」