カップほどの小さな幸せだとしても、店長が隣に居てくれるなら。


 陽希くんが二十四歳の先生を好きになり、告白しようとしている? 頑張れ? いや、止めるべき? いや、止めるべきではないと思うけど。


 相当、悩んだ顔をしていたのか陽希くんが笑い出す。



「麗さんが悩んでどうするんですか!」

「だって……」



 確かに悩んだってどうしようもない。決めるのは本人。わたしがとやかく言っても仕方のないこと。それはわかってる。



「告白、するの?」



 恐る恐る聞いてみると、やっぱり陽希くんは頷いた。



「麗さん。この間話しましたよね。はぴねすに友達連れてくる話」

「うん。言った」



 返事をするとすでに夏彦さんには許可を取っていて、明日一緒に来るのだと言う。



「ここで告白するの!?」

「違います。その、知ってます? 日曜日は特別でケーキセットがメニューにあるんです」

「え! そうなの!?」



 わたしが食べたい。いや、そうじゃない。今は陽希くんの話だ。



「先生、甘い物が好きらしいので。食べて欲しいなって」

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