カップほどの小さな幸せだとしても、店長が隣に居てくれるなら。

未熟なトライアングル



 ◇


 朝の六時、わたしはトーストと茹で卵を用意していた。生野菜を用意してテーブルに置き、あとはコーヒーを準備するだけ。


 今日の朝食も夏彦さんのリクエスト。


 つい最近のこと。
 同じ部屋に住んで食事も一緒。光熱費だって今まで以上にかかるはず。
 だから、生活費としてお金を用意して夏彦さんに手渡した。


 でも夏彦さんは受け取らなかった。



『お金は受け取らない主義だ』



 主義とかはよくわからないけど、それではわたしの気が済まない。


 だから、何だったら受け取ってもらえるのかを考えていると、夏彦さんがぼそりと言った。
 そしてわたしの慌てっぷりを見せてしまうという失態。



『そんなに気になるなら……』

『はい』

『体で払って』

『へ!?』

『で、ででででででも! その。わたしはあの!』



 言い訳すら思いつかないほどに、わたしは沸騰した。



『たまにでいいから夕飯も作って』



 さらりと言われた言葉に、急激に熱が冷めた。



『……つ、作らせていただきます!』

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