カップほどの小さな幸せだとしても、店長が隣に居てくれるなら。
「じゃあ、食べましょう」
「……いただきます」
「いただきます!」
食べながら、少しずつ目が覚めていくみたい。夏彦さんは珈琲を飲みながらほっとした表情を浮かべる。
その表情がわたしは一番好き。
「そう言えば夏彦さん」
「ん?」
「名前に夏って入ってるの、誕生日が夏だからですか?」
「うん。八月七日。三十九歳になる」
まだ眠たそうな声。それがたまらなくセクシーで、きっと本人は気づいてないと思うけど絶対にモテるいい声。
「八月七日か」
八月七日。
もうすぐ七月。ということはあと一ヶ月弱。
何かをしたい。だってこれだけお世話になっているんだから。かと言って具体的にはまだ何をすればいいか……。
それに八月といえば学生さんは長期休みだし、大人だって有給休暇とかを含めて長期休みの方がいるかもしれない。
はぴねすはやっぱり混むのかな。でも学生のスタッフが助けてくれるかな。