カップほどの小さな幸せだとしても、店長が隣に居てくれるなら。


 ***


 午後五時。瞬くんは疲れた顔で出勤してきた。働く前から疲れているし、今日は午後のシフトで珍しいし、聞きたいことがたくさんだ。



「どうしたの?」

「ん……ちょっと友達の助っ人」

「助っ人?」

「引越しのアルバイト。友達高熱で行けなくて、僕が行ってきました!」



 敬礼ポーズをする瞬。元気であることに変わりなく、少し安心した。



「少し焼けたんじゃない?」



 かなり火照った感じの顔。白かった腕も赤みがかっていて、炎天下での作業で焼けたみたい。


 今日は特別暑かったもの。



「恰好いい?」



 今度はボディービルダーのようなポーズを取る。



「まだまだね」



 こうしてふざけてるところは普通なんだけどな。
 興味がないわりには友達もいるみたいだし、そんな深く考えなくてもいいのかな。

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