カップほどの小さな幸せだとしても、店長が隣に居てくれるなら。
「そういうもんですか?」
「当たり前よ。で? 告白は?」
ため息混じりに陽希くんがわたしを見る。
「先生、ここまで車で送ってくれたんです」
「あら、チャンスだったんじゃない」
告白したんだろうと思っていたけれど、陽希くんは首を振ってから項垂れる。
持っていたカバンの上に頭を乗せて、そのまま陽希くんが話す。
「言えませんでした」
「あんなに気合い入れてたのに?」
「だって……」
目線だけ動かしてわたしを見るけれど、その上目遣いは反則。ちょっと潤んだ瞳がまたセクシーだこと。
「今の仕事が楽しくて仕方ない……そうやって嬉しそうに話す人に告白出来ますか?」
「先生と生徒だもんね。そう簡単なことじゃないか」
「麗さん、他人事だと思って……」
「違う、違う」