カップほどの小さな幸せだとしても、店長が隣に居てくれるなら。
それでも沈黙に耐えられなくて、わたしは言ってしまった。
「この間食べたランチ美味しかったです」
「どうも」
驚きのあまり、自分でも何を話しているのかわからない。こういうの、もっとちゃんと伝えたかったのに!
屋島さんは空気を読んだようで、また明日話しますと言ってドアの向こうに消えてしまった。
「いきなりごめん。メールを残したらわざわざ来てくれたみたいで」
どんなメールかわからないけど、わたしとしては二人暮ししていることを隠したいと言いますか。夏彦さんは違うのかな?
気にしない?
そういえば最初に気にしないって言っていた。だからバレても大丈夫ってことなの!?
「風呂、入る」
屋島さん、無表情だったけど絶対に、誤解されたよね!? 夏彦さんと、そういう関係だって勘違いしたよね!!
「お風呂、入っててください。ちょっと出ます! すぐに戻りますから!」