カップほどの小さな幸せだとしても、店長が隣に居てくれるなら。
無口で威圧感あると思って油断した。不覚にも落ちそうになった。
今朝ハートブレイクしたばかりだっていうのに、わたしってばおかしくなった?
「店長。それじゃ直球すぎるナンパみたいです」
「ナンパみたいなものだろう」
「いや、違うと思いますけど。スカウトとか勧誘とか?」
塩谷くんが慌てた様子で説明している。でも店長さんはわかっていないみたい。
少し変わっているというか、無口なのに一度話したら忘れないほどのインパクト。
「とにかく……」
店長さんは諦めたのか塩谷くんを無視して、わたしに向き直る。
「はぴねすで働かないか」
言われて、わたしは言葉が出てこなかった。