カップほどの小さな幸せだとしても、店長が隣に居てくれるなら。
アルバイトだった彼は社員になり、キッチンを任されるシェフになった。
「シェフって、キッチンで一番偉い人じゃないんですか? 店長さんは?」
「彼がやりたいと言い出したこと。キッチンのことは彼に任せている」
お店を経営するにあたり店長さんも様々な資格を持っていて、食品衛生責任者というアレもその一つ。
状況に応じてキッチンにいたり、フロアにいたり、動ける人だってことを知った。店長さんだけに、やっぱりすごい。
「とにかく、屋島くんがカフェにしようと言ったことで俺は変わったのかもしれない」
「どういうことですか?」
「ここは従業員によって変わっていく、成長型の店なんだ」
あ。店長さん、少し笑った気がする。
多分笑ったのかな、と思うくらい少しだけ口角が上がった。