カップほどの小さな幸せだとしても、店長が隣に居てくれるなら。
ピンクの紙にハートマークがたくさん書かれた紙は、夏彦が作ったものらしいが、あまりに派手すぎて夜の店に見えてしまう。
しかし三条は夏彦の考えていることがわかった。
「店長。女性のアルバイトさんが欲しいんですね」
「……そうだ」
特に女性と書かれているわけではないが、この用紙を見てアルバイトがしたいと言う男性は少ないだろう。
もしかしたら、希望者はこないかもしれないと三条は思ったが黙っていた。
「で、聞きたいことって?」
「紙が曲がっている気がする」
「へ?」
「直してほしい」
彼は困惑した。
それもそのはず。どこが曲がっているのかがわからないのだから。
「大丈夫です! 曲がってないですよ」