カップほどの小さな幸せだとしても、店長が隣に居てくれるなら。
「従業員の得意なものや好きなものがここにはある」
店長さんはそう言った。
コンピュータに詳しい者がアルバイトに来たらパソコンを設置。
本に詳しい者が来たら棚と本を仕入れた。
だから成長型の店だと、嬉しそうに店長さんが説明する。
カフェ雑貨はぴねすに、そういう歴史があるとは予想外。でも、どこか従業員を大切にする素敵な店に思えた。
あ、そうか。それでアルバイト募集の紙に、
『あなたはどんなお店にしたいですか?』
って書いてあったんだ。
自分の得意分野を活かせる仕事というわけかな。責任はそこそこ重いけど、やりがいはあるみたい。
でも、わたしは?
わたしに得意なことなんて……食べることが好きなだけ。
資格なんて持ってないし、約立たずなだけだ。