カップほどの小さな幸せだとしても、店長が隣に居てくれるなら。
「君は……」
「はい。高瀬麗です」
「……麗ちゃん」
「は……い!?」
ちゃん付けで呼ばれるとは思っていなくて、声が上ずる。
店長さんって、そういうキャラに見えないんだけど、無口だからわからないだけなのかな。
「俺は夏彦だ」
「えっと……」
国分店長じゃ駄目なんだろうか。
もしかして、はぴねすでは名前呼びが当たり前なのかな。いやいや、塩谷くんは普通に店長って呼んでた。
というか、わたしはまだ働くと決めたわけじゃ……。
「夏彦だ」
「えっと、夏彦店長?」
「夏彦」
「夏彦さん?」
あ。少し穏やかな表情になった。何となく店長さん……夏彦さんの機嫌がわかるようになってきた。
まあ、今日限りの付き合いかもしれないし、とにかく話だけ聞こう。