カップほどの小さな幸せだとしても、店長が隣に居てくれるなら。

「はぁ」



 やってしまった。会社でもあんなことあって、家族間にも亀裂が入りかけている。


 まだ鳴り続けるスマホの電源を落として、わたしはベッドに寝転がる。



「わたしの人生、どうしちゃったの?」



 順風満帆だと思っていた昨日に戻りたい。でも、戻ったらカフェ雑貨はぴねすとの出会いはなかったのかな。


 人生って不思議なものだ……。


 ほんの何時間か前のことなのに、懐かしくさえ思う。


 夏彦さんの言った、
『君が欲しい』
 には驚いたが求められることは嬉しかった。


 わたしはそんなふうに頼られることなんて、今まで経験がない。


 外に出れば普通のOLに見えるだろう。
 でも会社の中では要領が悪くて、あまり必要とはされていなかった。
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