カップほどの小さな幸せだとしても、店長が隣に居てくれるなら。


「こんばんは」



 会社や役所などで時間がかかってしまい、午前中に出かけたはずが夕方。


 夕陽が沈もうとしている空を背に、カフェ雑貨はぴねすに足を踏み入れた。


 お昼にコーヒーを少し飲んだくらいで何も食べていない。空腹のままカフェ雑貨はぴねすに来てしまった。



「いらっしゃいませ」



 顔を出したのは、この間いた塩谷くんじゃない。
 夕方になってシフトチェンジしたのかな。


 時間も午後六時を過ぎているし、メンバーが変わっていて当たり前かと思いながら、

「ディナーメニューを食べたくて」

 と彼に伝えた。


 にっこり笑って席に案内し、メニューを差し出す彼は可愛らしい童顔。
 高校生くらいかな。茶髪がよく似合っていて、大きな目とふっくらした唇が女の子みたい。

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