カップほどの小さな幸せだとしても、店長が隣に居てくれるなら。

「あ。そろそろぼく、仕事に戻ります」

「あ! 陽希、ズルイ!!」



 一体、何なのだろうと問い詰めようとしたところわたしの腹が盛大に鳴った。


 デジャブだ。これ、前にもあったよね。同じ場所で、瞬くんの前で!
 瞬くんを見れば笑いを堪えてるし、陽希くんも顔を引き攣らせてる。



「教えてよ。夏彦さんって言った途端の、その反応は何?」



 それでも、わたしは追求することをやめなかった。だって気になる。
 と思った途端のさっきより大きな腹の音。



「はう!?」



 さすがに恥ずかしくなって下を向いた。



「麗さん、食べた方がいいんじゃ」

「陽希くん。今日のディナーメニューをよろしく……」

「はい!」



 元気よく返事をして陽希くんは奥に行ってしまった。

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