カップほどの小さな幸せだとしても、店長が隣に居てくれるなら。

 自分の失態で問い詰めるどころではない。わたしの腹は、時に正直すぎて困る。


 ほっとしていた二人が何とも憎らしい。いつか追求してやる。


 思えば今日はまともな食事をしていない。お腹がすいて当然よね。店中にいい香りが広がってるんだし。



「じゃあ、僕は帰ります」

「あ。瞬くん、注文がくる間に話を……」

「じゃあ! また来週!!」

「待って!」



 話を聞かないふりをして瞬くんは店を出て行く。何と素早い。


 結局、夏彦さんがいるのかどうか聞きそびれちゃった。まあ電話ではいつでも居るからって言ってくれていたから、今日は事務作業してるんだろうな。


 食べ終わったら行ってみよう。


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