カップほどの小さな幸せだとしても、店長が隣に居てくれるなら。

 そういえば、ディナーのメニューを聞いていなかった。わたしは店内を見渡してみた。


 いい香り。
 もちろん、前と同じで珈琲の香りもしている。
 食欲をそそるソースの匂い、肉が焼ける香り、ナイフとフォークがお皿を鳴らす音? 


 間違いなくハンバーグ!! ハンバーグは大好物だから嬉しい。またお腹が鳴りそう。



「お待たせしました!」



 そう言って現れた陽希の手にはディナーメニュー。


 器が予想していたものと違って丸みがある。
 テーブルに置かれたそれはハンバーグではない。ロコモコだ。野菜もたくさん!
 それにスープ。食後には珈琲もある。



「食後に珈琲をお持ちします!」



 陽希はすぐにいなくなった。ちょうど店内が混んできた時間で忙しいみたい。



「いただきます!」



 引き止めるのも悪いので、とにかく食事を楽しむことにした。

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