カップほどの小さな幸せだとしても、店長が隣に居てくれるなら。
ディナー時の店内は忙しく動き回り、楽しい会話で盛り上がっている。それなのに、わたしのいるテーブルだけ時が止まったかのように静か。
気まずい。
「履歴書」
「え」
「履歴書、預かる」
「は……あ、ごめんなさい! 先に渡すべきでしたね」
「お腹が鳴ってたって聞いたから大丈夫」
瞬くんが言ったのかな。え、まさかの陽希くん? どっちにしても夏彦さんに言うなんて!
ということは、わたしの夕飯が終わるまで待っていてくれたのかな。
わたしはバッグから履歴書を取り出す。ちゃんと写真が貼り付いているか確認して、夏彦さんに渡した。
「うん」
「あれ。見ないんですか?」
「形だけだから」