カップほどの小さな幸せだとしても、店長が隣に居てくれるなら。
***
そして今に至る。
なぜ風呂にいるのかというと――――。
あまりにも綺麗に整頓され、ホテルのように生活感のない部屋に圧倒。
そして夏彦さんがマンションの、自分の部屋に案内した理由を考える。
そんなことはないと思いながら、どこかでそうかもしれないと勘繰る自分に顔を赤らめてしまい、やってしまった。
夏彦さんが運んできてくれたお茶を盛大に零し、スーツを濡らして風呂に入ることになった。
「さすがにのぼせる……」
わたしは意を決して湯船から出た。
身体を拭きながら、ドキドキする気持ちを無理やり抑え付ける。
どうしよう。本当にそういう理由だったら。まさか! 夏彦さんに限ってそんなこと……。