カップほどの小さな幸せだとしても、店長が隣に居てくれるなら。
***
カフェ雑貨はぴねす前。出勤十五分前。
そこでわたしは深呼吸。ゆっくりとドアに手をかけた。
夏彦さんに教えてもらった裏手入口を入って事務所に行く。そこには夏彦さんと瞬くんがいた。
「あ、お疲れ様です。天瀬麗、今日からお世話になります!」
挨拶をすると夏彦さんは頷いて、瞬くんは何やら驚いた顔をしている。
「麗さん! 髪切ったの?」
そうだった。午前中に友達と会って、その後に美容院でカットしてもらった。久々のショートボブ。
会社からはまあまあ離れているけれど、知っている人がいたらと思うと仕事出来ない。
だから、見た目だけでも変えたかった。突然のイメチェンだ。