カップほどの小さな幸せだとしても、店長が隣に居てくれるなら。

 満席になったからか、待つ人も増えてきた。しかもみんな手が回らないみたい。
 困った。いや、困ってるのは待ってるお客さんの方!


 来た人はレジ横のボードに名前を書いてるみたいだけど、これ以上増えたら入口が混雑しちゃう。
 そうなるとお客さんをがっかりさせてしまう。カフェ雑貨はぴねすって名前なのに……カフェ……雑貨!?



「あの!!」



 思わず声を出していた。
 しかも二階から首を出すという失礼なやり方をしてしまった。でも声をかけてしまったんだから、今更修正不可能。



「待っている間、雑貨でもご覧になってはいかがですか?」



 新人のわたしが言っていいものか悩んだけれど、夏彦さんは怒っていないみたいだし大丈夫。

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