カップほどの小さな幸せだとしても、店長が隣に居てくれるなら。

「なるほど。難しい悩みですね」

「すみません……」

「じゃあ、二つのことが叶うようなものがいいですね」

「叶うならば……」



 すごく申し訳なさそうにしてる。
 いい子だ。こんなに純粋で素直な子、学校じゃ人気者なんじゃないかな。


 そうじゃない。仕事、仕事。
 カッコよくて、可愛いもの……。



「そういえば、さっき……」



 わたしはアクセサリーコーナーに行って、気になったそれを持って戻る。



「お客様は、ピアスホールはありますよね」

「はい」



 彼女さんに確認をすると、耳を見せてくれた。



「これなどいかがですか?」

「これ?」



 透明の袋に入ったシンプルなデザインのピアスを渡す。キラキラとグリーンに輝くクローバーの形をしたものだ。

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