カップほどの小さな幸せだとしても、店長が隣に居てくれるなら。

興味がない



 ◇


 初日ということもあって、わたしの仕事は午後三時まで。確かにやったことのない仕事というのは疲れる。


 でも、そこまで気をつかってくれなくてもいいのに、なんて思うのは今まできつい仕事をしていたせいなのかな。


 残業が普通にあったし、むしろ新人のうちは覚えるために働く時間が多かった気がする。


 先に帰ることを瞬くんに伝えに行くと、彼はやっぱり猿みたいに動き回っていた。


 止まらない。休まない。不安になるほどに、元気。



「瞬くん。先に帰ります!」

「あ。麗さん、お疲れ様です」



 瞬くんはそう言って、すぐに仕事に戻ってしまった。割と真面目。


 それとも、忙しいのかな。
 お客さんはあまりいないけど、新人のわたしにはわからない何かがあるのかも。

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