カップほどの小さな幸せだとしても、店長が隣に居てくれるなら。

 その時、夏彦さんが通りかかる。



「あ。夏彦さん! 先にあがります」

「うん」



 こっちはこっちで無口だ。



「雑貨」

「え?」

「雑貨コーナーへお客様を誘ったこと」

「あ……はい。大丈夫、でしたか?」

「すごく助かった」



 褒められた。頑張ってよかった。
 きっと当たり前のことなんだろうけど、疲れが吹っ飛ぶくらい嬉しい。



「麗ちゃん、何か食べていく?」

「あ……えーと。今日はこの後行きたいところあるので、やめておきます」

「そう」

「じゃあ、お疲れ様でした」



 本当ははぴねすでご飯食べたかったけど、今日は我慢しよう。瞬くんいるし、大食い認定されちゃう。

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