評論&弄くりノート >兼足跡帳<
 そしてD,書きたい気力だけが溢れてて、何もアイディアが出ない時の保険として写真誌(ダイの場合殆んどが THE BEST OF LIFE というアメリカの廃刊になった超有名写真誌のBEST版)をめくって、何となく開いたその頁の続きや経緯を写真の背景に関係なく考えるのです。

例えばロバート・ケネディとアーサー・キング牧師の暗殺シーンが載った見開きを見て、まずその描写をします。2つの事件を一緒に合わせて描写するんです。

◎ その場に居た人々は、今正に彼の命を奪った凶弾が飛んできたと思われる方向を指差して、俄に騒ぎ立てる。

 足元で彼を抱き上げているのは、さっきまで笑顔で握手を交わしていた皿洗いの少年だ。

 少年は変わり果てた姿の彼を、呆然と魂の抜けたような顔をして腕にしている。

 彼が撃たれたのは薄暗いキッチンで、わざわざそこを通ったのは、防犯上の理由から回り道をして演説会場より辞する為の配慮だったのだ。

 床に広がるのは彼の血か、或いは調理場特有の油か。

 それは明かり取りの窓から入ってくるほんの一筋の光を照り返し、虚空を見詰め、志半ばで逝こうとする彼の無念さを表しているかのように力なく闇を照らしていた。

※R,ケネディの写真が余りにもショッキングな為、キング牧師の描写は頭だけになってしまった事をお許し下さい(-人-)
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