君のひだり
そう言うと、蒼瀬は笑って、


「そんなの全然気にしてないよ。俺こそ、ごめん。詩織に耳のこと話せなくて。・・・耳のことを聞いて同情されたくなかったから。」


「うん。でも、私は同情なんてしないし、これまで通り蒼瀬と接するよ。・・・・だからね、1人で抱え込まないでほしい。」


そう言うと蒼瀬は私の方に向き直って、私の手を握る。


「私じゃ頼りないかもしれないけど、友達でしょ?だから、辛いことがあったら話して欲しい。」


一瞬蒼瀬は少し悲しそうにした。


「うん。ありがとう。・・・詩織に言ってなかったけど、引っ越すのは来週の土曜日。だから、もっと思い出作りたい。」


「もちろんだよ!・・・・よし!暗い話と真面目な話はこれで終わり!これでいつも通りね?」


「あぁ。よし!じゃあ、戻るか!」


そう言って、私は蒼瀬の左手をぎゅっと握る。

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