君のひだり

「あっ、だからメニュー１つ１つに番号付いてるのか。ソネット集を真似て。」


「うん。それともう一つ。ここにある料理は全部お母さんとの思い出の料理なの。だから、番号の下に書いてあるのはお父さんとお母さんの思い出。このハンバーグは初めてお母さんが作った手料理だから下にそう書いてあるんだ。」


「へー。じゃあ、詩の代わりに思い出のエピソードが書かれてるってことか。」


そう言うと蒼瀬は微笑みながらメニュー表を見始めた。


すると、突然蒼瀬がメニュー表の表紙を見て、


「お店の名前もソネット集からきてるの？」


「当たり！」


私がそう言うと蒼瀬は当たったと言ってまた笑った。


このレストランはお父さんとお母さんの思い出がたくさん詰まった大切な場所。


私も放課後や休みの日はお手伝いをしている。


「決まった！俺、オムライス！」


メニュー表を見ると、20 オムライスと書かれた下にレストランオープンと書いてある。


「これ、お店開店した時1番最初に作った料理ってことでしょ？」


「うん！あっ、私お父さんに頼んでくるね。」