君のひだり
「そっか。・・・・俺は交通事故で足を骨折した。俺本当はオリンピック目指せるくらいのサッカー選手なんだぜ!」


明るく笑った亜月はどこか寂しそうな顔をして続けた。


「でも、この事故で大事な大会のメンバーから外された。誰よりも練習してたのに、もったいねぇよな。」


「・・・・・でも、その怪我は治るでしょ?なら、やり直せばいいじゃん。」


軽く言った言葉に亜月は驚いた顔をしたが、急に笑い出した。


「あはははは!お前俺より年下なのに凄いな。そんなに前向きに考えたことなかったわ。・・・・・・そうだな、やり直すか。」


そう言ってサッカーボールを蹴りだした亜月は俺の前に立って、


「じゃあ、俺はここからまた代表目指すよ。蒼瀬も何か夢見つけて頑張ろーぜ!耳だって片方だけだろ、聞こえないの。俺はよく分かんないけど、片方しか聞こえなくたって出来ることはたくさんあると思うぞ!」

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