君のひだり
そして、引退試合の土曜日。


会場にはいつもより沢山の人。


「詩織!!」


蒼瀬が手を振りながら走ってくる。


「はい、これ。いつものだよ。」


レモンの砂糖漬けを渡すと嬉しそうに蒼瀬が微笑む。


「ありがとう!」


「じゃあ、観客席に行くね!」


そう言って歩き出すと、後ろから蒼瀬に呼ばれる。


「詩織!・・・・ありがとう。」


真剣な顔をして言うからびっくりしたけど、


「どういたしまして!」
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